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LESSON

ワンポイントアドバイス

はじめてのコントラバス

コントラバスを始めるにあたり、楽器はどうすればいいかという点でわからない方が多いようです。

当スクールでは、講師の所有する楽器になりますが、レッスンの際に無料で貸し出しいたしますので当面は楽器をお持ちでなくてもコントラバスは始められます。ただ、やはりご自宅で楽器に触れることのできる環境があるのとないのでは技術の習得や理解に大きな差が出てくるのも事実です。

例えば、サッカーを始めようとしたら、まずはボールを手に入れなければ始まりません。野球でいえば、グローブとバット。テニスであればラケットといったところでしょうか。スポーツに限らず、車が趣味という人は車。カメラが好きという人はカメラやレンズ。つまり何を始めるとしても初期投資というものは必要になってくるわけです。

しかしそれにしても、コントラバスという楽器は、その値段を考えると趣味として始めるにはいささか敷居が高いようにも思えます。二の足を踏んでしまうのもいたしかたありません。そこで今回は楽器の購入に関するいくつかの選択肢と判断基準、アドバイスなどを挙げていこうと思います。個人的な見解や推測の域を出ない部分も多々ございますが、楽器ご購入の際の一意見として、ご参考にしていただければ幸いです。

◯価格の違いは材質の違い

コントラバスに使う材質には単板と合板の二種類があります。

単板:

一枚の板から削り出したもの

合板:

薄いベニア材をプレスして一枚に合わせたもの。もともと無理矢理プレスして一枚の板に加工されたものなので、歪みが生じやすいようです。時間の経過とともに弦や駒の圧力(130kgともいわれる)などによってへこんでくるなどの不具合が生じることがあります。Wikipediaには「概ね20-30年前後が寿命と考えられている」という記述もあります。

単板の使用比率が高い程、価格が高くなります。国産コントラバス、オリエンテを例にとってみましょう。

エントリークラス(定価21万円):

表板はスプルース単板、裏胴が合板

定価31万5千円クラス:

表板スプルース単板、裏胴はメイプルを使った合板

定価39万9千円クラス:

表、裏ともに単板

ネット販売でしか見かけない10万円以下の廉価コントラバスは全て合板の粗悪品であると思われます。ペンキを使った塗装などもされているようです。

◯安物を買うという選択肢
メリット:
  1. 経済的な側面
  2. 楽器にいち早く触れるという点
デメリット:
  1. 練習に対するモチベーションが持続しない恐れがある
    高い楽器に比べれば弾く楽しみがあまりないかもしれません。音の圧力、空気の振動、楽器の揺れなどによってもたらされる弾く楽しみが楽器を弾く大きなモチベーションになりますが、安い楽器にはその要素が少ないように思われます。
  2. 安い楽器は時間が経つほど音が鳴らなくなる
    逆に材質の優れた楽器は弾けば弾くほど音がよく鳴るようになります。値段の高い楽器は自分の演奏技術の向上とともに楽器の鳴りも成長させていく喜びがあります。
  3. ゆくゆくは歪みが生じ壊れる

高い楽器を買ってしまえばちょっとやそっとのことでは諦めたりはできなくなります。つまり、高い楽器を購入するということは、ただ楽器を手に入れるというだけでなく、自分がこれからどれだけの努力、労力、時間を費やしてその楽器を学んでいくかの決意を表明するという意味合いもあるといえるかもしれません。

◯楽器購入にあたっての選択肢
1. 安物コントラバス

10万以下で購入できるような新品楽器を指します。長期的に見ればメリットはあまりないように思いますが、楽器にいち早く触れるという点においてはその存在意義を否定できるものではありません。個人的には当スクールの教材として手にしてみたいという気もしています。

2. サイレントベース

メリット:
コントラバスと比較すると生音が圧倒的に小さい為、近所迷惑にならずに練習ができる
持ち運びが格段に楽

デメリット:
弾いた感触が全く異なる点
胴鳴り、身体と楽器の触れる位置、ネックの角度などが異なるので、厳密に言えばコントラバスとは別の楽器
アンプリファイした音にしかならない
生の音の豊かさというコントラバスの長所に欠く

※筆者もかつてエレクトリックベースからの移行の前のワンクッションとしてエレクトリックアップライトベースを購入し使っていたことがありますが、本物のコントラバスを手に入れてからは結局手放してしまいました。あくまで個人的な見解ですが、本物の楽器と比べてしまえば「おもちゃ」のような印象が否めず、代用品たり得なかったと思っています。といいつつ、そのメリットもけっして看過できないものがあります。

3. 中古30万円台

生徒Cさんがおっしゃっていたところの「かなり現実的なライン」。おそらく表板、裏胴ともに単板。東欧製のものが主流でしょうか。

4. 新品50万円以上

けっこうしっかりしたものが手に入れられる価格帯になります。このクラスになると当然、すべて単板になります。

5. 100万円以上

この価格帯になるとオールドと呼ばれる弾き込まれた中古が選択肢に入れられます。コントラバスは「材質の優れた楽器は弾けば弾くほど音がよく鳴る」のでより良い音を鳴らせることが期待できます。

値段は良し悪しに反映されるといっても過言ではありません。但し、ちゃんと信頼できるコントラバス専門店で購入していただければとおもいます。参考として、筆者の楽器(ドイツ製ルブナー新品)は77万円でした。

◯いつ買うのか
  1. お金を貯めてから買う
  2. とりあえず買う

練習できる環境をいち早く整えるという点では後者のように何はなくとも手に入れてしまった方が絶対的に有利であることは間違いありません。楽器習得の初期段階に於いては、実際に楽器に触れる以外に技術の向上はなし得ないからです。但し、この項ではローンを組むことを推奨しているわけではありません。「ご利用は計画的に」!

◯4/4(フルサイズ)問題

まれに4/4サイズの楽器が市場に出回ります。日本で一般的に流通している楽器の大半は3/4サイズという大きさ。つまり、大きいというわけです。

メリット:
  1. 大きな音が出そう(イメージ的に。もちろん材質の善し悪しにも依りますが)
  2. 4/4に慣れると3/4を弾いた時楽器が小さく感じられるかもしれません。
    ということは(A)コントロールしやすいという反面(B)普段の感覚では音程がズレるおそれもあります。
デメリット:
  1. 運搬により一層の体力、注意力を要する
  2. セッションなどで使われる楽器の大きさは3/4サイズが大半なので違和感を覚えるかもしれません

西洋人のような立派な体格をお持ちの方は4/4でもよいと思います。小さな体格の方は正直ちょっと大変かなと思います。

コントラバスという楽器は、楽器一つ一つに個体差があるので、弦長も4/4サイズだからといって一定ではありません。もし4/4サイズであったとしても、ご自身が弾けそうだなと思ったらサイズは気にせず、それにしてしまえばよろしいのではと思います。自分の楽器に馴染んでしまえば結局のところ自分の楽器が一番弾き易く感じるものなのです。こちらも参考までに筆者が所有する楽器のは、3/4サイズ、弦長は1035mmくらいです。

繰り返しになりますが、楽器は可能な限り試奏してから購入するのが望ましいです。通信販売やweb上の取引は大きなリスクが伴います。できればその楽器の経験者や先生と一緒に見に行き、意見をあおぐのが良いでしょう。

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